お役立ち記事 > 法面保護工の総合ガイド

水和硬化性マットとは?仕組み・施工手順・向く現場を解説

「水をかけると固まるマット」「セメントを含んだシート状の資材」といった呼ばれ方をする資材があります。正式には水和硬化性マットと呼ばれ、法面(のり面)の侵食防止や養生、土水路の保護、防草対策などに使われています。

ここでは、水和硬化性マットとはどのような資材なのか、硬化の仕組み・施工の流れ・向く現場と向かない現場を、順を追って解説します。

drymat-roll-product

まず結論:敷いて・固定して・散水するだけで、表面にモルタル層をつくる資材

水和硬化性マットは、セメントモルタルをあらかじめ含ませたマットを現場に敷き、水をかけて硬化させるタイプの法面保護材です。吹付機やコンプレッサといった大型機械を使わずに、敷設・固定・散水という手順で表面保護層をつくれることが最大の特徴です。

そのため、重機が入らない現場や小規模な現場、騒音・粉じんを抑えたい現場で、モルタル吹付工の代替として検討されることがあります。

硬化の仕組み ― 「乾いて固まる」ではなく「水と反応して固まる」

名前にある「水和」とは、セメントが水と化学反応(水和反応)を起こして硬くなる現象のことです。塗料のように水分が蒸発して乾く仕組みとは異なります。

drymat-hardening-mechanism
  1. マットには特殊セメントモルタルが含浸されている(施工前は柔らかく、地面の凹凸に沿う)
  2. 敷設・固定したあとに散水する、または降雨を受ける
  3. セメント成分が水と反応して硬化し、表面にセメントモルタルの層ができる

ドライマットの場合、素材はポリエステル製の立体網状構造体に特殊セメントモルタルを含浸させた構造です。骨組みとなる立体網状構造が、硬化したセメントモルタル層を保持する構造です。

drymat-product

施工手順の基本

水和硬化性マットの施工は、一般的に次の流れで進みます(ドライマットの標準的な手順)。

手順内容
① 整形・清掃法面を整形・清掃し、必要に応じて排水処理を行う
② 展開ロール状のマットを法面に沿って広げる
③ 固定アンカーピンで固定する(標準は縦横50cmピッチ、重ね代50mm以上)
④ 端部処理必要に応じて切断し、端部・重ね部を粘着テープ等で処理する
⑤ 散水降雨または散水で硬化させる(散水量の目安は20L/㎡以上)
⑥ 養生約3日間養生し、硬化を確認して完了(外気温0℃以上を確保)

ポイントは③の固定と⑤の散水量です。凹凸が残ったまま敷くと地面とマットの間にすき間ができ、硬化が不十分になる原因になります。事前の整形が仕上がりを左右します。

向く現場・向かない現場

向く現場

  • 切土・盛土法面の表面侵食を抑えたい現場
  • 造成中・施工中の仮設法面の養生、災害時の応急・仮復旧
  • 山間部・狭小地など、大型機械が搬入できない現場
  • 素掘り側溝・排水路・巡視路など、細長く小面積の保護(詳しくは「土水路・農業用水路の補修方法」)
  • 太陽光発電所・農地の畦畔・道路沿いなどの防草対策
  • 騒音・粉じん・材料飛散を抑えたい現場

事前確認が必要な現場

  • 常に水が流れている川底・河川(簡易な水路は可でも、常時水流は不適)
  • 風化してもろく崩れる岩壁(アンカーが効きにくい)
  • 直角に近い急傾斜や鋭角な割れ岩
  • 凹凸が大きく、整地しないと隙間が残る地面
  • 気温0℃以下となる冬期(凍結で硬化しにくい)
  • 人や車両が繰り返し通る場所(すり減り・割れのおそれ)

なお、水和硬化性マットは表層の保護を目的とする工法であり、地すべりや深い崩壊を抑え込む抑止工ではありません。崩壊規模が大きい現場は、専門的な調査・設計にもとづく対策が必要です。

他の工法との位置づけの違い

工法全体の位置づけは「法面保護工の種類を一覧で解説」で整理しています。

公共工事での扱い

ドライマットは国土交通省の新技術情報提供システムに登録された技術で、NETIS登録番号はCG-220028-Aです。施工実績は公共機関70件・民間628件(2026年3月現在)です。設計・提案の資料に登録番号を記載でき、従来工法との比較検討がしやすくなります。ただしNETIS登録は採用を保証するものではありません。制度の考え方は「NETISとは?」で解説しています。

よくある質問

Q. 雨が降らなくても施工できますか?

散水で硬化させられます。散水量の目安は20L/㎡以上で、降雨がある場合はそれを利用することもできます。

Q. 硬化までどのくらいかかりますか?

約3日間の養生後に硬化を確認して完了します。散水時と養生期間中は外気温0℃以上を確保してください。

Q. 重機が入らない現場でも施工できますか?

ロール状の資材を人力で展開して施工できるため、山間部や狭小地でも検討しやすい工法です。詳しくは「狭小地・急傾斜の法面保護はどうする?」をご覧ください。

Q. 駐車場のように車が通る場所にも使えますか?

人や車両が繰り返し通る場所は、すり減りや割れのおそれがあるため適していません。通行のない周縁部やのり面での使用をご検討ください。

適用可否を確認する

水和硬化性マットが自分の現場に合うかどうかは、法面勾配・施工面積・地山の状態・湧水や表流水の有無・施工時期・搬入条件によって変わります。現場写真・図面・施工面積をお送りいただければ、適用可否と概算をご確認のうえご案内します。技術資料・積算資料の請求も承っています。

ドライマットの適用可否・概算費用は現場条件で変わります。現場写真・図面・施工面積をお送りいただければ、適用可否と必要な資料をご案内します。

資料請求(カタログ・技術資料) 適用可否を相談する

← お役立ち記事の一覧へ